gac14952のオルタナティブ通信

伝統的資産投資に振り回されず低相関で年率10%超の投資を斬る。

ヘッジファンド&マーケット・アップデート(3月31日時点)

各種マーケット指数

  • 3月、先進国の株価指数は上昇。一方、新興国は下落、特に中国上海総合指数は▲6.8%となった。米国のセクターを見ると金融、テクノロジーが堅調だった一方、コモディティ価格の大幅反落に伴い、エネルギー、コモディティ・セクターは下落した。
  • 世界国債指数は▲0.2%となった。米国では堅調な経済指標を背景にイールドカーブがワイドニング(金利上昇)し、10年ゾーンでは金利が20bps程度上昇した。
  • コモディティ・セクターでは、原油や金、天然ガスが2月から反転下落し、コモディティ指数で▲4%となった。
  • 欧州危機に対する安堵感の広がり、米国の経済指標が堅調であったことから、クレジットは総じて堅調であった。

Mar12_Monthly_Table
 

HFRX ヘッジファンド指数

  • HFRXグローバルヘッジファンド指数は、▲0.02でほぼフラットとなった。堅調な先進国株価およびクレジット市場を反映し、株式ヘッジ、イベント・ドリブン、相対価値裁定の3戦略がプラスとなった一方で、マクロ/CTAはコモディティ価格の下落(特にエネルギーの反転)が影響し、マイナスとなった。
  • 株式ヘッジ戦略は+0.40。欧州およびテクノロジーセクターのプラスリターンが貢献した。サブ戦略である、株式マーケットニュートラルは▲1.21%となったが、トレーディングおよび投資家行動予想モデルの損失が影響した。
  • イベント・ドリブン戦略は+0.56となった。米国金融セクターおよびボラティリティの低下が多くのサブ戦略に貢献し、ディストレスト戦略が+0.59%となった。医薬品、コモディティ・セクターで引き続きM&Aが活発で、スペシャル・シチュエーション戦略+0.44%、合併裁定戦略+0.21%とプラスに貢献した。
  • 相対価値裁定戦略は、+0.27となった。米国国債利回りの上昇がマイナスに寄与したが、クレジットスプレッドのタイトニングにより損失を相殺した。転換社債裁定は+0.16%となった。
  • マクロ/CTA戦略は、▲1.60%と損失。コモディティの価格反転の影響が大きく出たシステム分散型運用戦略が▲2.36%となった。裁量型(ディスクレショナル)戦略もマイナスとなったが、コモディティの損失の一部を株価の上昇、短期金利および通貨取引の収益により相殺した。

Mar12_Monthly_Chart
(注)ヘッジファンド指数に関するコメントは、HFR社のMarch 2012 Performanceコメントを参考にして作成した。
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生命保険証券投資(ライフセトルメント投資)パート6

今回は別の事例を検証してゆく。以下のチャートはCenturion Fund Management社が運用しているライフセトルメントファンドである。このアセットクラスは1996年からスタートしている。

sg2012040237818


このアセットクラスにおいては古参の運用会社ともいえよう。やはりほぼ一本調子にNAVが上昇しているが、ポートフォリオの評価方法の変更を2011年に行っている。つまり、前回考察した弱点においてNAV評価方法をMark to Model からMark to Market方法へ変更する事によって、四半期に一回の頻度で市場割引率IRRデーターを常に最新のものに適応させることによってより市場実勢でのNAV評価へ変更したファンドである。この方式はMark to Model 方式が当初買い付けを行った時の市場実勢を保険証券の償還(死亡金受取)まで適用し、その間の市場IRRが如何に変化してようが価格に反映させないのに対して、Mark to Market方式はエクイティ投資等のように都度市場価格で評価する方法に等しい。従ってマーケットで保険証券を転売しなければならないような事態においても、ビッドオファー価格差はあるもののおおむねNAVに沿った売却が可能であり、ポートフォリオをいやおうなく外したがために損失を計上してしまいNAVが毀損してしまう可能性を排除し、またNAVの突然の下落にあわてて解約が殺到してさらに投げ売りをせざるをえない事態を避けることをある程度可能とした。

このアセットクラスが内包しているリスクに対処されているファンドといえよう。さすがにエクイティ、ボンドなどの流動性のあるアセットではないためにすぐ市場売却はすぐに可能とは思えないが、実勢IRRを使用しているためにある程度時間をかけてポジションをNAVを毀損させずに解消することは可能といえよう。これによって予期せぬNAVの暴落、およびクレジットラインがタイトな場合でも計画的に保険証券を市場で売却することによって保険料支払いの調達は可能となろう。

しかしそれでもまだ長寿化リスクを排除することまでは困難であるために、その点のリスクはあろうが、個々の保険証券評価の基礎となる保険証券における被保険者の平均余命を都度最新の情報を更新、適用しNAVを再計算することによって、前回検証したファンドのように突然ポートフォリオ全体の平均余命が長期化したためにNAVが暴落する事は避けられよう。

このファンドは上記の意味において個人的には投資に値する一つのファンド例であると考える。(本ファンドを推奨しているわけではないことをご留意いただきたい)ただし伝統的資産のような完全な流動性はないであろう事、市場IRRの変動、およびクレジットスプレッドの縮小、拡大といった要因にファンドNAVは影響を受けるであろうから、完全に伝統的資産とは低相関、非相関のアセットである、ということはできないであろう。しかし債券投資と比較してこのアセットクラスの特性により高いリターンが享受できる点は見逃せないであろう。

次回は、最近日本にも来日しこのアセットクラスを幅広く紹介しようとしたがある事情によって困難になってしまったと思われるファンドを検証してみたい。
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生命保険証券投資(ライフセトルメント投資)パート5

今回は個々の事例の検証となる。以下のチャートはAssured Fund のチャートである。
sg2012032638171



また、最新の投資家向けレポートは以下のリンクを参照されたい。(2011年12月末時点だが)

http://www.policyselection.com/pdf/Dec%202011%20Newsletter%20All%20Share%20Classes.pdf



このファンドは2004年2月に設定されておりトラックレコードは十分である。レポートの内容からポートフォリオ詳細を抜き出してみると、

・保有している保険証書の額面平均・・・ 約3Mil USD

・ポートフォリオ全体の保険額面総額・・・約70Mil USD

ファンドが保有する保険証券の平均予想余命・・2年11か月

・ファンドが保有する証券の被保険者年齢平均・・85才5か月

・保険会社の格付け分布・・・・AAA  22.41%

AA  50.86%

                    A  26.72%

またポートフリオの予想余命は全体を平均したものであるために平均値である2年11か月より短いもの、長いものがまじりあっていることは理解していただけよう。ちなみにそのブレークダウンを眺めてみると予想余命2-3年が約19%、3年から4年が約25%、5年から6年が14%、6年から7年が約12%、であるように見える。よって短い余命の保険証券が償還(つまり被保険者の死亡)し保険金が入ってくるとその資金で5年ぐらいの保険証券を新たに買い付けしてポートフォリオを構築してゆくのであろう。もちろんすべての余命は予想であるために5年―6年ゾーンの14%の中から一部早めに資金回収できるケースもあろう。ファンドリターンは約8%であるから、IRR8%で割引した現在価値での保険証券の買い付けを行っているであろう。(ただし取引にはブローカーなどのコストもかかるために実際の割引率は8%以上である事は理解できよう)。その他このポートフォリオを維持するために保険料の支払いが生じる。一般的には保険額面の5%と言われている。ポートの保険額面総額は約70Mil であるから、年間保険料は約3.5Milドル必要である。従ってすべての資金を保険証券の買い付けに回してしまうと保険料が払えなくなる、ポートフォリオの予想償還額を考えながら一部はキャッシュで保有しなければならないだろう。もっともあくまでも予想償還額であろうからここがぶれて期待通りに償還が起こらなかった場合に保険料が払えなくリスクがある。払えないと保有している保険証券は失効となり無価値になるであろう。これを避けるためにほとんどのファンドは保険料支払いにおけるクレジットラインを確保している。提供先は同業の金融会社、ヘッジファンド、リーマンショック前は投資銀行などであった模様だ。



さて、ここまで検証している中でこのアセットクラスの弱点が見えてきた気がする。

その部分を赤文字にしてみた。以下抜粋する。

1.  ファンドが保有する保険証券の平均予想余命・・2年11か月

2.  IRR8%で割引した現在価値での保険証券の買い付けを行っているであろう。

3.  年間保険料は約3.5Milドル必要である。

4.  保険料支払いにおけるクレジットラインを確保



弱点1 平均余命が伸びたりしないのか?

弱点2 IRR8%で割引した現在価格はその期待期間においては一定に価値は増加してゆく。これはその期間がはっきりしている場合だけである。(割引債券を思い出してもらいたい)。このような評価方法はMark to Model評価という。では途中で売却する場合どうなるのであろうか?

弱点3、4 クレジットラインはいつまでも確保できるものなのか?確かリーマンショック時において多くのヘッジファンドはプライムブローカーからの信用供与を絞られてしまい解約対応のために泣く泣くアセットを安い値段で売却せざるを得なかった事があったが。



再び上記チャートを眺めてもらいたい。

彼らの発表によればポートフォリオの予想余命が長期化したために再評価を行ったためとの説明である。

弱点の1が現実のものとなってしまった模様である。

次回はそれら弱点をある程度克服している事例を検証してゆく。

検証はあくまでも筆者の個人の意見であり本戦略を否定するものではないことを留意いただきたい。(おそらく誤りもあるであろうため)


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生命保険証券投資(ライフセトルメント投資)パート4

さて、まず前回の記事に誤りがあったために修正させていただいたことをご留意願いたい。対数の法則ではなく、大数の法則であった。ちなみに大数の法則に関してはhttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E6%95%B0%E3%81%AE%E6%B3%95%E5%89%87 を参考にされたい。


パート3において生命保険買取に関しては被保険者の予想余命によって大きくリターンが左右されうることを検証した。

当然、買取を行う前に被保険者のメディカルデーターの最新情報を入手し予想余命を算出している。現在アメリカにおいてはその予想余命を算出する機関が代表的なところで3社ある。買取を行う主体はその3社(少なくとも2社)からその被保険者の予想余命(Life Expectancy、通称LE)を依頼し、その3社、もしくは2社の平均値をとり予想余命としている模様である。一般的な生命表において65歳の予想余命が15年であるとしても個々の属性は異なる。(生活環境、レベル、病気の有無などなど)よってベースである生命表から余命15年とされる個々人にウエート付けを行うために個人医療データーを提出してもらいその個人の余命を算出する作業を行っている。(当然、売買においては個人情報の開示に同意する事を前提としている)。参考までにhttp://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life10/

において日本人のそれが公表されているのでご覧いただきたい。(米国ではMortality Tableという)


基本的にライフセトルメントは65才以上の健常者の不要となった保険証券を買取ることと定義されており、過去に話題となったHIV感染者などがその自身が加入している保険を売却する行為とは異なったものとして認識されている。(エイズ患者が余命1年と宣告された場合、当然同様な保険証券を売却する行為が見られたがその買取価格が著しく不当な買いたたきなども見られ社会問題化したことがあったために法規制がなされた。ちなみに余命2年までの保険証券の買取はバイアティカル・セトルメントと呼ばれている。余談であるがそのHIV患者の保険証券は買い取った側の期待に反した模様である。つまり医療の発展によって不治の病ではなくなったために余命が大きく伸びたことが原因であった)


さて被保険者のLE(予想余命)が確定しても買い取る側としては健常者であるもののその中から標準体に比較して死亡確率がなるべく高い保険契約を買取る事が長寿化リスクを排除できる可能性が高まる。非常によくまとめられているレポートが滋賀大学リスク研究センターの久保教授が執筆されているのでそちらをご参考にしていただきたい。

http://www.econ.shiga-u.ac.jp/10/2/3/res.3/J10Kubo200911DUFE.pdf 

このレポートを一読いただければライフセトルメントのほぼすべてを学ぶことができるであろう。


小職としてはパート3の最後に指摘したいくつかのファンドの事例検証を続けていきたいと思う。


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生命保険証券投資(ライフセトルメント投資)パート3

さて前回、前々回と生命保険買取の有用性が認められるケースを検証してきた。パート1では財産権としての側面から、パート2ではその買取価格のベーシックなメカニズムから解約返戻金と比較して大きな差が認めらることから人間がとりうる合理性から考えれば自身の保有する生命保険証券を売却する行為も不思議ではないこと、を確認できた。



パート3ではこのマーケットの諸問題点を分析してみる。



まず、パート2の例でみたような、被保険者が65歳、保険額面100万ドル、予想余命10年、期待リターン8%の場合、どこの変数がぶれるであろう?



割引国債は償還日が定まっているが、保険証券にはそのような償還日はない。被保険者が亡くなった場合に保険金が支払われるため、その日が償還日である。つまりあくまでも予想である。平均余命と一般的に我々が使っている用語はその時点において生存率(死亡率)が50%となる時点である。よって予想余命10年だからといって100%すべてが死亡する事ではない。50%は生存しているのである。10年後を起点として前後数年にわたって当然誤差が出てくる。

予想10年である人が8年で亡くなった場合、買取した立場からは早く資金回収が行える。また余分な保険料の支払いも必要なくなる。よって最終的なリターンは高くなる。では逆の場合はどうか。13年後に亡くなった場合、想定より3年長期化する。つまり3年分の保険料支払いが生じるとともに資金回収も計画より3年伸びるためにリターンは想定より悪化する。



このリスクを長寿化リスクという。



生命保険会社はこのリスクを数多くの契約者を抱えることによって排除している。つまり65歳の年齢層の契約者が数百万に上れば、その余命はおおむね予想余命に収れんしていく。これを大数の法則という。

従ってこのような保険契約の買取を行う場合も似たような属性を持つ被保険者を数多く集めポートフォリオを構築することによってポートフォリオ全体としての長寿化するリスクを排除しようと努める。しかしいくら数多く似た属性を集めようとしてもそう簡単には保険会社のように何百万件も集められないであろう。たった20-30の似た属性を集めただけでは大数の法則は働かず常に長寿化リスクにそのポートフォリオをさらされることとなる。



また、近年は医療技術の進歩が著しいよって今時点で予想余命が10年とされても将来5年後に予想余命が伸びているケースが十分ある。数年おきにアメリカでは生命表を改定している。そのたびに徐々に余命が伸びていることがわかる。



さて、このような生命保険証券をプールにするファンドは確かに人間の予想余命は、株式・債券などのアセットクラスの上昇、下落や景気動向に左右されない。従って相関が無いといわれている。確かにそのように思える。パート1で見たチャートはそれを物語っている。要はポートフォリオの想定する期待期間を如何にマネージするかであろう。



しかし単純にそれだけではなさそうである。以下のチャートを見てもらいたい。




sg2012032638171


何が起こっているのだろうか。次回検証してみたい。


 


 


 


 


 


 


 


 

生命保険証券投資(ライフセトルメント投資)パート2

今回は米国における生命保険証券を買取るメカニズムを検証してゆきたい。

まず、読者の皆様に思い浮かべてもらいたいことは、割引債券の価格メカニズムである。割引債券の価格決定要因は大きく3つの要因から価格が決定する。

1.  満期までの期間

2.  その時の市場金利

3.  発行体の信用力

である。例えば日本国が発行する5年割引国債は一般的に3の信用力は最上位であるために、クレジットリスクは無いものと考えられる。よって1、2の条件が決まれば割引国債の価格が決定される。割引国債は償還時に100%になるために今の5年国債の市場金利が1%であると仮定すれば、現在価値Xは1%の複利運用を行い5年後に100%になるような価格に決定される。ここでは計算方法などは割愛させていただく。詳しくはhttp://www.findai.com/kouza/309bond.html を参考にしてもらいたい。


さて、将来100%になるものの現在価値は当然100%より小さい価値であることはイメージできたと思う。ここでは単純に仮に95%としておく。投資家は95%で割引国債を購入し償還まで持てば100%で投資資金が戻ってくる。

では生命保険証券においてはどうであろうか?

先の3つの要因を当てはめてみる。

1.  満期までの期間=被保険者の予想余命

2.  その時の市場金利=生命保険証券市場において投資家が求める期待リターン年率

3.  発行体の信用力=生命保険証券契約を引受けた生命保険会社の格付け


となろう。つまり被保険者が現在65歳、契約保険金額 100万ドル、予想余命 10年、 投資家が求める期待リターン年率 8% 、生命保険会社格付け AA格 であれば (投資家の期待リターンに生命保険会社リスクが内包されているものと仮定する)、100万ドルを期間10年、金利8%で割り引いた価値が現在価格=買取価格となろう。


ただし、1点割引債券と異なることがある。それは、

この保険契約を買取ったのち保険契約を有効に保つためには保険料を支払わないといけない。でないと保険契約が失効してしまい買取を行った意味がない。


従って100万ドルの保険契約を有効に維持するために5万ドルの年間保険料が発生すると仮定すれば、投資家は毎年5万ドルのコストが発生する。5万ドル×10年=50万ドルがコストであり、買取価格はそれ以下になるであろう。

では上記の仮定においては買取価格はいくらになるであろうかはEXCELで簡易的に計算できる。

このように投下資本に対しての収益率を求める場合はIRR(内部収益率)を使用する。このケースでは金利8%IRR8%としてエクセルで計算したのが以下である。IRRに関してはhttp://www.nsspirit-cashf.com/inv_st/irr.html を参照されたい。


IRR8%
 
(注)上記計算はあくまでも簡易的に行ったものであり、実際の買取金額計算方法は各年度における生存確率も考慮し支払保険料金額にウエートをつけて行われる。


上記の計算結果では100万ドルの保険金額の現在買取価値は投資家期待リターンが年率8%である場合、15万ドル、額面100万ドルに対しては15%の価値となる。


仮にこの被保険者が保険契約を不要と考えた場合、取りうる選択肢は一般的に失効、解約の方法があるが、失効は保険契約が無価値になってしまうために通常解約を保険会社へ申し出ることになろう。その場合の解約返戻金は一般的に保険額面の1-2%とかなり低い現実がある。(保険契約種類によっては異なる事を留意)


さて、皆さんはどちらを選択するであろうか。

保険会社へ解約を申し出るか、それとも市場で保険契約を転売するか?

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ヘッジファンド&マーケット・アップデート(3月9日時点)

39日時点の月間の動き。 

株指数は月初数日は売られたものの、先週後半にかけて上昇。米国の雇用統計等指標が堅調だったことや8日のギリシアの債務交換が成功したことなどが背景。一方国債は月間で▲2と売られた。コモディティは原油が小幅上昇、金はほぼ変わらずとなったが、コモディティ指数で見ると▲1.5%となった。天然ガス先物の下落(▲11%)等が反映されたものであろう。 

こうした中、ヘッジファンドは各戦略ほぼフラット(プラスマイナス数十ベーシスの範囲内)のパフォーマンスとなった。  

20110309 Weekly_Table
20110309 Weekly_Chart
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生命保険証券投資(ライフセトルメント投資)パート1

かなり久しぶりとなるが、前回考察したMARSに続いて、生命保険証券投資(ライフセトルメント)を考察してみたい。


まずは以下のチャートを見てもらいたい。
sg2012031151771


上記チャートはケイマン籍の外国投資信託である。いかがであろう。一本調子でNAVがコンスタントに上昇しているのに気付くであろう。理由の一つとして収益の源泉が生命保険金であるからである。生命保険金ならば何故一本調子にNAVが上昇していくのか。今後数回に渡ってこのアセットクラスのメカニズム、諸問題点、等を考えてゆく。


まずは「ライフセトルメント」とは何か?という定義から説明してゆく。

ライフ=生命、セトルメント=取引、つまり合体させると、「生命の取引」といえる。(笑)何か怖そうな気がする。

読者の皆様も多種多様な生命保険に加入していると思う。定期付き終身保険、終身保険、養老保険、等。


誰を生命保険金の受取人にしているであろうか?


通常家庭を持つ方々はご家族を(通常は妻)保険金受取人にしているであろう。独身の方はご両親を受取人にしているであろう。つまり保険契約者に不慮の事態が発生した場合に残された方々に何かしらのお金を残して生活をサポートしたいという意思が(保険契約者としての契約意思)保険契約を結ぶ動機となる。



保険契約書を見ても保険金受取人の名義変更は引受た生命保険会社の承認が必要とされている。つまり例えば家庭を持つ契約者が受取人をその妻にして保険契約を締結していたが、その後妻と離婚した場合は当然いつまでも別れた妻に保険金を支払う気持ちになれない。従って受取人を自分の子供、両親などの親族へ変更を生命保険会社へ届け出する事となり、保険会社もそのような道義的に認められる場合に限り保険金受取人の変更を承認するのである。

つまり、契約者が自分のお金を払い、生命保険会社との保険契約を結び、自分の指定する人間(親族)に保険金の支払いを行わせる旨の契約において自分の都合で受取人を変更する事が出来ないという側面がある。自分で保険料を払っているにもかかわらず、である。つまり自分の財産ではあるが自由に処分できない側面を持ち合わせている。


先の保険金の受取人を別れた妻から両親・子供たち以外の第3者、例えば日ごろからすごくお世話になった隣の隣人(例えば介護などでお世話になった方々)へ受取人を変更したい場合は道義的に保険会社は変更の承認をしないだろう。(保険契約上はダメとはなっていないが、保険会社の承認が必要となっている)自分の保険契約であるにもかかわらず。


また例えばこんなケースはどうであろう。

保険契約者が重篤なガンに冒されて余命2年と宣告されたケースである。次第に体力が衰え日常生活(仕事も含め)を送るのが困難となるのは簡単に想像できる。ではその家族を誰が支えるのであろう。恐らく妻、家族であろう。その負担は(金銭的な面も含め)非常に大きなものとなろう。そしてガンに冒された契約者はどうであろうか。もちろん病気と闘い完治しようと努力するであろう。しかし一家の大黒柱が治療に専念すると家計の資金繰りは当然持ち出しになることは簡単に想像できる。家を売却、車も売却、財産が有れば可能な限り売却をし資金調達を行い家族を守り、自身の治療にすべてをかけるであろう。それでももう資金を作るすべがなくなった時、自身が契約者となっている生命保険証書がある事に気づいたとしよう。そしてガンの新薬(日本では未認可の)を全額自己負担で処方したいと願う場合、最後に自分に残された生命保険証券の換金化を行い資金調達を行い、家族の生活費の足しにし、そして自身の治療費に充てたい、と願った場合、家族以外に、正当な価値で買い取ってくれる人物、組織があればと願うであろう。保険金を将来受け取る権利を誰かが買い取ってくれれば、今現在の価値に換算した現金が入ってくる、となれば皆様はどう考えるであろうか。

これは実際にあったケースである。契約者は保険会社へ保険金受取人を親族以外の第3者へ変更する事の承認を求めた裁判である。この時の第3者はその契約者の保険契約を買取、現在価値の現金をその契約者へ支払うファイナンス会社であり、そのファイナンス会社はその契約者が亡くなった時に保険金を受け取る主体である。

この訴訟に関して日本の裁判所はノーの判決を下した。契約者の悲痛の思いは成し遂げられなかったケースである。

つまり日本の場合、保険契約は個人が自由に処分することのできない財産であると言え、動産・不動産などのように自由に処分換金できないもの、と定義できる。自分のお金を支払っているのにもかかわらず。


米国の場合はこのような考え方とは異なり、自分でお金を支払っている契約は、すべて財産権はその個人に帰属するという非常に合理的な考えが判例で1911年に確立されているために自分で契約を行った生命保険証券をどう処分しようが、動産・不動産を処分するのと同様、当然の権利として認められている。従って多種多様なケースがあるが生命保険証券の第3者への転売は合法であり、法規制が発達し、そのようなマーケットが発展してきた。


非常に長くなってしまったが、この生命保険証券の転売・買取は金融商品としてアメリカでは発展してきた。これがライフセトルメントと呼ばれている。


次回はその買取のメカニズムを考察していきたい。
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ヘッジファンド&マーケット・アップデート(2月29日時点)


  • 1
    月に続き、株式、クレジットなどリスク資産が上昇、またドルは下落した。
  • MCSI世界株式指数は+4.9%となり、年初来は10%超の上昇となっている。特にTOPIX2月+10%となり、S&P500指数やブラジル、中国株価指数を上回った。TOPIXの年初来上昇率は+15%とMSCI世界株式指数を大きく上回っている。
  • コモディティでは、イラン情勢を巡る懸念から原油価格は+8%と大きく上昇。一方で金は下落した(ただし年初来では+9%)。
  • クレジットも上昇。転換社債は2月+3%、年初来では+8%となっている。(そういえば、2月には国内ではJPモルガンがグローバル高利回りCFファンド201202で設定上限ほぼいっぱいの493億円を集めましたね)。ハイイールド債も+2%、年初来では+4%となった。また、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)も投資適格、クロスオーバー、ハイイールドと全てスプレッドはタイト化した。米債券市場で欧州の低格付け企業の社債が過去最速のペースで発行されるなど、前例のない規模の資金がドル建てハイイールド債に流入しており、ハイイールド市場は過熱している、とのリサーチレポートも。
  • ヘッジファンドも2月堅調であった。HFRXグローバルヘッジファンド指数は+1.4%(年初来+3.2%)となった。主要戦略は全てプラスで、イベントドリブン戦略が+2.4%(年初来+5.2%)、ついで相対価値戦略と株式ヘッジ戦略がそれぞれ+1.5%、+1.4%となった。マクロ戦略は若干のプラスを確保したものの、システム分散運用サブ戦略のマイナスが影響した。

Feb12_Monthly
2月のHFRIHFRXに比べ構成ヘッジファンド数が格段に多い指数)とHFRXのパフォーマンスを比較したのが以下の図である。灰色の枠で示しているように、株式ヘッジ戦略およびそのサブ戦略であるマーケットニュートラル戦略、そしてマクロ(システム運用)戦略のパフォーマンスの差が大きくなっている。2012年に入り、トレンドの転換が見られたため、マネジャーのパフォーマンスにバラツキが大きくなっているのが背景。やはり、ヘッジファンド全体の動きを捉えるにはHFRXではなく、HFRIによって評価するのが適当であろう。
Feb12_HFRI_vs_HFRX
最後にヘッジファンドに負けるな!ということで、身銭を突っ込んでいるGACポートフォリオのパフォーマンスを記載します。
GAC_port_29Feb12

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株が下がっているときに収益をあげる商品とは?-VIX指数について①

今回はヘッジファンドを少し離れて、興味深いETFを紹介したい。このETFは海外で最近設定されたため、日本での紹介は(ググってみたが)殆どされていない。

 

今回の記事を書こうとした、そもそもの理由は、株が大きく値下がりしたときに儲かる商品ってなんだろう?と考えたことである。国債の買い、株式先物指数の売り、プットオプションの購入、VIX(ボラティリティインデックス)先物の購入、など色々考えられるであろう。なお、ここでは、USD建の商品を考えており、円建てではないので為替リスクについては取り上げていない。米国債購入は一番シンプルかつ分かりやすいが、バーナンキが2014年までFed Rateを利上げしないという、時間軸政策を掲げてしまった以上、米国債価格の上昇余地は限定的であると思われる。また、株価指数が10%以上の下落した場合に、債券のみでヘッジすることは下落幅を限定させることはできても、損失全体をカバーするのは困難である。株式指数先物の売りは、逆に上昇したときに損失を出して、株価指数の上昇を相殺してしまうので、あまり意味がない。ヘッジ比率を調整する、という専門的な方法もあるが、そんなの面倒だし、コストもかさむし、個人で行うのは難しい。となると、オプション料(プレミアム、保険でいう掛け金のようなもの)を払って、プットオプションを購入し、株価が下落した場合に損失を相殺するようなポジションを作れば良い。しかし、個人がプットオプションを買うことも難しく、またそうした「相場が下落するような局面では、そもそもオプション料が高くなっているため、コスト高となる可能性が高い。では、VIXS&P500指数のオプションのボラティリティを指数化したもの)の利用はどうだろうか。VIXは「恐怖指数」とも知られ、リーマン以降、メディアなどでも取り上げられることが多くなったが、その解説は、例えばこちらを参考にしてもらいたいが、もう少し、マニアックにオプションについて知りたい方には、をご覧いただきたい。非常にざっくり言うと、株のオプション価値(上記プレミアムのこと)は、①現在の株価、②オプション満期までの期間、③権利行使価格、④満期までの金利、そして⑤満期までに株価がどのくらい変動するか(つまり、変動率=ボラティリティ)が分かればブラックショールズ式により計算される。①~④までは現時点で分かっているので、⑤が分かれば、オプション価値は計算できるのである(もちろん、理論上ですが!)。そこで、現在取引されているオプション価値(プレミアム)に①~④の条件を数式に入れて逆算すると、⑤のボラティリティが計算されるのである。これは、なにをしているかというと、『取引されているオプション価値に内在されている(インプライされている)ボラティリティを計算している』ことになる。オプション価値が高まることはつまり、相場の変動性(ボラティリティ)が高まることを意味しているのである。したがって、相場の先行きに対して悲観的なとき、相場が危機時においては、オプション(下落に対する保険)の価値が高まり、インプライド・ボラティリティが高まる、つまり、VIXの値が上昇するのである。ちなみに、「変動性」なので相場に対して楽観的で、これから株価が大きく上昇するだろう、というときにも理論上はボラティリティが高まるが、実際のマーケットでは、オプション価値はそれほど高まらず、したがってオプション価値から逆算されるインプライド・ボラティリティ、つまりVIX指数もそれほど上昇しない、もしくは下落することすらある。このことから、VIXは(相場が上昇したときはVIXも上昇するかどうかはよく分からないけど)下落の時に上昇するため、「恐怖指数」と呼ばれているのである。

このVIXを対象とした先物がシカゴオプション取引所に上場されており、実際この先物に投資するETFもある。例えば、国際投信投資顧問が運用する「国際のETF VIX短期/中期先物指数」で、その月次レポートは、こちらである(ちなみに、こちらQ&APDF)も参考になります)。この月次レポートをご覧いただくとわかるように、S&P500指数が大きく下落した、昨年8月から10月にかけて大きく上昇し、見事にヘッジとしての機能を果たしている。6,000円台だった基準価格が一気に17,000円台まで上昇している。しかし、その後、相場が回復し、今年に入り、S&P500指数が大きく上昇すると、VIX指数は急降下、1月末時点では8,000円まで急降下している。

もちろん、相場のタイミングを見て、「今が弱気のピークだから、解約しよう」とタイミングよく判断できれば、こうした下落の損失を被ることはなかったであろう。しかし、そうした判断は実際には難しいものである。

従来よりVIXをモニタリングしてきた筆者からすると、このVIX先物に連動するETFを組成するアイデア自体は良いと思ってはいたものの、VIX指数の変動率は株価指数そのものに比べても非常に高く、タイミングを間違えると大損になるだろう、ということは容易に想定できる。

ここで唐突に冒頭の筆者の疑問(相場が下落した時に儲かる商品はなんだろう?)に戻るが、現状の投資アイデアとして、以下のような特性をもつ商品があれば面白いと思っている。

 

  • VIX先物に連動する商品(ただし、先物の限月交替(ロールオーバー)のコストを軽減する仕組みが入っているもの)
  • 相場が上昇すると思われるときには、その上昇を享受できる商品(つまり相場上昇時にはVIXに連動しない商品)
  • 複雑なオプションが入っていない、ルールが明確で、コストがかからない商品
  • S&PUSD建てなのでUSD建ての商品(もしくはドル円の為替ヘッジがついた商品)

 

こうした特性を備えていると思われるのが、紹介したいETFである。

次回は、このETFについて、検討する。
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ヘッジファンド&マーケット・アップデート(1月31日時点)

1月のパフォーマンスについてコメントしています。
 20120131 weekly_table

  • 月中(18日)以降も、リスク選好のトレンドが持続し、1月を通じてリスク資産が上昇。株高(ブラジル・ボベスパ+11%)、ドル安(ドル指数▲1%)、資源高(金先物+11%)、クレジット高(ハイイールド+2.7%)という展開が持続した。
  • そうしたリスク資産の上昇に伴い、ヘッジファンドも全般的に好調な2012年のスタートとなった。HFRXグローバルヘッジファンド指数は、+1.72となった。戦略別に見ると、リスク資産上昇という昨年のトレンド反転によりシステム分散型運用が▲1%となったマクロ戦略が+0.09とほぼフラットとなったものの、他の戦略は総じてプラスを確保した。
  • 株式ヘッジ指数は+2.07となったが、これは201012月以来の月間プラスである。特にファンダメンタル・グロース型運用が堅調で、米国小型株やラテンアメリカ、アジア(除く中国)が貢献した。
  • イベント・ドリブン指数は+2.80と戦略別では最もリターンをあげた。サブ戦略でみると、ディストレスト戦略が+3.10%となったが、これは月間リターンとしては22カ月ぶりの上昇となった。また、ドイツ取引所とNYSEの合併が破談となったものの合併裁定戦略も投資案件のディール・スプレッドの縮小により、プラスを確保した。
  • 相対価値裁定戦略も+1.72と堅調であった。イールド・スプレッドがタイト化したことや株式相場の回復により株式エクスポージャーの高い転換社債裁定戦略などのサブ戦略も好調となったことが貢献した。

20120131 weekly_chart

(注)ヘッジファンド指数に関するコメントは、HFR社のMonth-end Updateコメを参考にして作成した。
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日本におけるヘッジファンドの販売調査

今回は、近年日本のリテール向けに販売されたヘッジファンドないしはファンドオブヘッジファンズを分析してみたいと思う。

 

出所は各種ウェブサイトやEDINET等から筆者が集計したものであり、残高は201111月末時点のものである。また外貨建てファンドについては、Bloomberg1130日の為替レートにより円換算している(投信協会のレートではない)。ヘッジファンド投信の主流である外国籍公募投信を対象としているが、国内籍投資信託は対象外となっていること、残高が少額の投信は対象としていない点にも注意して頂きたい。投信名称や販売会社等会社を特定する情報に関しては一部の例外を除き、匿名としている。

 

今回の調査によると、運用中のヘッジファンド関連外国籍公募投信の残高は、総額約1兆円、ファンド数は約90ファンドであった。

ファンドが設定された年ごとに残高をみると、2008年以降が大きくなっている。

残高推移
2008年まではヘッジファンドが富裕層や機関投資家を中心とした古典的な投資家層が中心であった。筆者の見解では、2008年(リーマン危機より前)までは、ヘッジファンドではなくとも他に「売れる」「ストーリー性のある」投資信託があり、またヘッジファンドを店頭でリテール顧客に説明することが難しい商品であったためだと思われる。背景には、米国を中心とした長期の株式上げ相場、エマージング諸国の成長とそれに伴う資源価格の高騰、そして高金利環境にあったことが要因と考えられる。その後、米国住宅バブルが崩壊し、20083月のJPモルガンによるベアスターンズ救済、そして同年9月のリーマン破綻によりグローバル・クレジット危機が頂点に達した。 “Cash is King”とばかりに投資家は一斉に資金逃避。あらゆるリスク性資産は投げ売りにより急落し、各種マーケットの相関関係が従来と大きく変容する、という状況に陥った。伝統的資産ばかりでなく、ヘッジファンドも下落し、ヘッジファンド投資の有効性・絶対リターンの獲得に対する能力が疑問視された。そうした環境下にあって注目を集め始めたのが、ヘッジファンドの中のマネージド・フューチャーズ(CTA)戦略である。他のヘッジファンド戦略が低迷する中、CTA戦略は「下げ相場に強い」「伝統的資産と低相関」という言葉通り、堅調であった。ダウジョーンズ・クレディスイス・マネージド・フューチャーズ指数の2008年の年間リターンは+18%となった(一方で、全ての戦略を合算したヘッジファンド指数は2008年▲19%)。
 

次の図は、戦略別の残高比率を示したものである約8割をマネージド・フューチャーズ戦略が占めている。次いで「分散型」が8%となっているが、これに該当するのは複数のヘッジファンド戦略に投資するファンドオブヘッジファンズ(FoHFs)である。

戦略別残高

これをファンドの設定年ごとに見たのが、次の図であるが、2007年までは「分散型」の比率も比較的高く、ある程度戦略も分散されていたが、2008年以降はマネージド・フューチャーズ戦略が圧倒的に高くなっている。

戦略比率の推移
このような背景には上述の通り、リーマンショック以降、勝ち馬である同戦略が俄然脚光を浴びだしたということがあろう。一方、リーマン前に比率が高かった「分散型」のファンド(つまり戦略分散型ファンドオブヘッジファンズ)の新規設定がほとんどなくなった。また、2009年、2010年に「イベント・ドリブン」戦略の比率が高まっているが、この戦略に該当するファンドは、野村証券、三菱UFJモルガンスタンレー証券、みずほ証券で販売されたポールソンのパフォーマンスに連動するファンドである。ポールソンがサブプライム市場の下落で巨額の利益を得たことは既にご存じであろうが、やはり、販売会社側の心理として、2008年を勝ち抜いた戦略なり、ファンドがテーマ性、売りやすさの点から販売された、ということであろう。

次の表は、ファンドが元本確保されているかどうかをファンドの設定年ごとにみたものである。

元本確保の推移
元本確保されている、というのはファンドの満期(通常短くて5年、長い場合は1520年)となった時点で、投資元本が保証されている、というファンドである。この図の通り、2008年までは元本確保型商品の組成が主流であり、一方2009年以降は元本確保しない、一般的なファンドが主流となった。上述の通り、2007年までは戦略が比較的分散されており、またヘッジファンドという従来なじみの低い商品をリテール市場で販売するにあたって、その安全性を担保する意味で「元本確保」という特長が組み入れられたと思われる。要するに、「今まで機関投資家や個人の富裕層しか投資できなかった、一流のマネジャーが運用するヘッジファンドに投資できますよ。実際どういった運用をされているか分かりづらく不安に思われるでしょうが、万一損失を出しても満期まで保有してもらえると、ちゃんと元本分は確保されますよ」ということである。そのために、つまり元本確保するためには「ゼロクーポン債+コールオプション」型や「CPPIConstant Proportional Portfolio Insurance)」型などの金融工学的手法が採用されるが、要するに元本確保部分は国債などリスクのない資産で担保し、そこにコールオプションを組み込んで投資しているヘッジファンドのリターンを享受する、というものである。仕組みの複雑性もさることながら、問題はこうした仕組みはコストが高い、という点がある。話しがやや脱線するが、ヘッジファンド連動型投信の場合、ヘッジファンド自身に払う報酬、そのパフォーマンスを享受するために発行される債券(パフォーマンス連動債、ないしはデルタワンノートと呼ばれる)に関する手数料、そして投資家が投資する投資信託にかかる手数料、申し込み時にかかる手数料、と4段階で手数料が徴収される投資信託が大半である。このようにただでさえコストの高い商品性に、更に元本確保のために安くないコストを払うのである(逆に、こうした仕組みを手掛ける外資系証券などにとっては「おいしい」仕組みであり、販売すれば大体35%の組成手数料が入っていた)。更に、元本確保の仕組みによっては、ヘッジファンドがある一定の損失に達すると、それ以降どんなにヘッジファンドのパフォーマンスが上昇しても、その上昇分は享受できず、満期に元本が返ってくるまで何年も資金を寝かせたまま待たなくてはいけない、という状態になってしまう。このようにコストが高く、仕組みが複雑な元本確保型商品で思うようなリターンをあげている商品を見たことがない。2008年以降は、こうした元本確保型が下火となったが、その背景には、世界的に金利低下により元本確保に必要な債券の価格が上昇したためヘッジファンドに連動させるバッファー(余裕資金)が小さくなったこと、リーマン以降ディレバレッジの流れの中でこうした仕組みを提供していた外資系証券がそうしたビジネスを縮小させたこと、そもそも期待していたはずのヘッジファンドのパフォーマンスが2008年にやられてしまった、といったことが考えられるであろう。

筆者としては、こうした元本確保は安全性を担保してくれるように思えるが、その対価として支払うコストが高く、そもそものヘッジファンドのパフォーマンスを大きく落としてしまうことを考えると、現在の元本確保しない、という現在の流れは非常に好ましいと思っている。

 

次に、ヘッジファンドの形態について見てみたい。便宜上「形態」と言っているが、ある特定のヘッジファンドに連動した「シングルヘッジファンド」型か、それとも複数のヘッジファンドに投資する「ファンドオブヘッジファンズ(FoHFs)」型か、という2つのタイプに分類し、設定年ごとの推移を調べたものである。

ファンド形態の推移
2007年まではFoHFsの比率も高かったが、それ以降はシングルヘッジファンド型が圧倒的となっている。これは上記の戦略別構成比率の推移と関連しており、分散型が高かった2007年までは必然的にFoHFsが選好されたこと、一方、マネージド・フューチャーズ戦略が圧倒的となった2008年以降はシングルヘッジファンドが選好されている。ただし、マネージド・フューチャーズ戦略であってもFoHFs形態のものもある(例えば、ノムラ・マン・CTA・セレクト・ファンド)。

 

最後に直近のヘッジファンドのパフォーマンスと新規設定実績から、今後のヘッジファンド関連商品のリテール展開を予想してみたい。今までの流れを簡単にざっくりまとめると、

  • 20072008年まで)複数の戦略およびヘッジファンドに投資するFoHFsやマネージド・フューチャーズに限定されず各種戦略に投資するヘッジファンドに元本確保をつけた商品
  • ***リーマン危機発生***
  • (危機以降)シングルヘッジファンドに元本確保をつけない商品。特に2008年成績の良かったマネージド・フューチャーズ戦略やポールソンなど個別著名ファンド。

ということになろう。ヘッジファンド戦略・運用手法の説明がなかなか難しいという状況は今も変わっていないなか、そういった点で売るのではなく、運用を担うヘッジファンドの過去のパフォーマンスや運用能力をブランドとして売る姿勢は続くであろう。それ自体は悪いことではないと思う。むしろ、そうせざるを得ないであろう。ただし、ポールソンで失敗した経緯から、組み入れるヘッジファンド選定の難しさを感じ、シングルファンド型ではなくリスクヘッジとしてFoHFs型の設定も復活するであろう。こうした動きを感じられるのが昨年10月に設定された「ノムラ・マネージャー・セレクト1110」である。4戦略、5つのヘッジファンドを組み入れたFoHFs型でいずれも大手に分類されるヘッジファンドが組み入れられている。ただし、これを一流と呼べるかは別問題で、どういった相場環境でも常に一流と呼べるファンドはヘッジファンド全体でも10%もいない、というのが筆者の感覚である。例えば、ブレバンハワードは一流と言えるであろうが、このノムラのファンドに組み入れられているのはブレバンハワードが運用会社ではあるものの、同社のフラグシップである、ブレバンハワード・マクロファンドとは違い、戦略もマネージド・フューチャーズである。ちなみにマクロファンドは新規投資家の資金を受け付けていないどころか、既存投資家に資金返還をしているような状況である。話しが脱線してしまったが、要するに、一流と言えるヘッジファンドが少ないので、ヘッジファンド(会社ではなく運用者)の選定がポイントであり、パッシブに運用するのではなく、アクティブなマネジャー選定能力が問われるであろう。

2008年好調であり、巨額設定が続いたマネージド・フューチャーズ戦略はどうであろうか。直近でも三菱UFJモルガンスタンレー証券が1110月に「dbX-ウィントン・パフォーマンス連動オープン」を設定している。筆者は、マネージド・フューチャーズ戦略の中でも中長期の相場トレンドに追従するシステム運用型ファンドは複数のファンドを組み入れる必要はなく、このファンドのようにシングルヘッジファンド型でも十分であると考えている。中長期システム運用型ファンドの中でも、ウィントンは一流であろう。システム運用であり、運用マネジャーの裁量が入らないことから、「マネジャーの相場の読みが外れた」というような状況は発生しえない。ただし、過去のチャートパターンから分析されたモデルに基づいて運用しているため、そもそもマーケットのチャートパターンが本質的に変っているような場合には、そもそもモデル自体が機能せず、過去の実績ほどにはパフォーマンスが上げられないことはありえる。しかし、マーケットが本質的に変ったかどうか、というのはそうそう分かるはずもなく、後追い的に分析せざるを得ない。2008年、光を放ったマネージド・フューチャーズ戦略も、2011年は他の戦略が不振の中、同じように苦戦した。ダウジョーンズ・クレディスイス・マネージド・フューチャーズ指数の2011年の年間リターンは▲4.19%となった(この2011年の不振について面白い記事を見つけたので、別途このブログでも翻訳して紹介したい)。

 

以上、今回は日本のリテール市場におけるヘッジファンド関連投信の展開についてでした!

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今週のマーケット(1月18日時点)

(今週のマーケットは、2012年に入ってから118日までの月間の動きについてコメントしています。)

 

各種マーケット指数

§  2012年に入り、リスク資産は概ね上昇(118日時点)。主要株価指数は総じて上昇、新興国の株価指数が先進国をアウトパフォームした。リスク資産が選好される中、世界国債指数は下落した。

§  コモディティ指数も1.7%上昇、特に金は6%近く上昇している。エネルギーセクターでは原油が上昇した一方、天然ガスは下落。農産物セクターは全体として下落した。

§  転換社債やハイイールド、レバレッジド・ローンなどクレジットも堅調に推移した。CDSスプレッドはタイト化、VIXは低下した。

20120118 Weekly_Table

HFRX ヘッジファンド指数

§  HFRXグローバルヘッジファンド指数は、1.18となった。4つの戦略(株式ヘッジ、イベント・ドリブン、相対価値裁定、マクロ/CTA)全てがプラスとなった。

§  株式ヘッジ戦略は+1.29。プラスリターンの多くが米国大型株、金融、エネルギーセクターからもたらされた。サブ戦略である、株式マーケットニュートラルは+0.82%となったが、テクノロジーセクターが寄与した。

§  イベント・ドリブン戦略は+2.02と大きくプラスとなった。アクティビスト、スペシャル・シチュエーションが最も寄与した。アメリカン航空、MFグローバルといった破綻企業で進展がみられたためディストレスト戦略も+1.76と堅調であった。合併裁定戦略は+0.46と小幅ながらプラスとなったが、ドイツ取引所によるNYSEユーロネクスト買収、AT&TによるT-モバイル買収観測に進展がみられたことなどが寄与した。

§  相対価値裁定戦略は、+0.98となった。全てのサブ戦略がプラスに寄与した。転換社債裁定は+0.99%となった。

§  マクロ/CTA戦略は、+0.32と若干のプラス。裁量型(ディスクレショナル)戦略はプラスとなった一方、システム分散型運用戦略は金属セクターのプラスが、農産物や天然ガス等の損失により、▲0.32%となった。

 

(注)ヘッジファンド指数に関するコメントは、HFR社のIntra-Month Updateコメントを参考にして作成した。

20120118 Weekly_Chart
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興味深い記事-(ロイター)偉大なるヘッジファンドにとって屈辱的な2011年

2011年のヘッジファンドパフォーマンスが振るわなかったことは既に多く報道されている。そうした中で自然と湧いてくる疑問には以下のようなものがあるだろう。

-ヘッジファンドに投資して意味があるのか?

-ヘッジファンドはいつだって儲けられるじゃないの?また2008年の繰り返し?

-ヘッジファンドの中でも去年成功したファンドは?

こういた疑問に対して興味深い記事があったので、抄訳して紹介したいと思う。原文はロイターの英語ウェブサイト(こちらより)。なお、赤字は記事を読んで思った筆者のボヤキです。

 

(以下記事の抄訳)

著名なヘッジファンドのいくつかは昨年のパフォーマンスが株価指数を下回ったことの言い訳をたくさんしている。多くのヘッジファンドは二桁の損失を出した。

欧州債務危機、予想より遅れた米国の経済回復、日本の原発事故のような想定外の出来事、これら全てによって相場環境は非常にトリッキーで、株価は大幅かつしばしば予想不可能な動きとなった。その結果、ヘッジファンド全体の2011年の年間リターンは、平均▲4.8%、株式に特化したファンドは平均▲19%となった(HFRBoAML調べ)。

ヘッジファンドに投資せずミューチュアルファンドを選択していた投資家の成績はずっと良かった。例えば、バンガード500インデックス・ファンドは+2%、ピムコのストックスプラス・ロング・デュレーション・ファンド(2011年最も成績が良かったファンド)は+21.2%となった。(ピムコの方は2008年▲34%だけどね。。)

上記のようなヘッジファンドの言い訳を誰もが認めているわけではない。彼ら曰く、「ヘッジファンドマネジャーがどんなに賢くても、結局他の人々と同じように間違いを犯すものだし、相場に対して常に特別な洞察力をもっているわけではない」。「2011年、多くの著名なヘッジファンドをつまずかせたのは、あまりにも多くのトレーダーが同じ大型株に一斉に投資したからだ」と、ある業界関係者は話す。

「いつの時代でも、投資家は崇拝される新規マネジャーを採用する。しかし、彼ら投資家は失望する運命にある。なぜなら、経験則から言うと、1年で40%儲かるファンドは翌年に40%損する可能性があるのだ。マネジャーは半神半人でもなく生身の人間なのだ。」と、ニューヨーク大学スターン校でヘッジファンド戦略を教えるJim Liew教授は言う。1つの例が、ホイットニー・ティルソンである。彼の25千万ドル(195億円)のヘッジファンド、T2パートナーズLLCは、大抵の場合、主要な株価指数を上回る成績を収めてきた。しかし昨年は異なるストーリーとなった。IridiumNetflixといった銘柄で大損を被り、旗艦ファンドは25%以上の損失となった。ヘッジファンド業界内には、2011年に大損を受けたからといってタオルを投げる前に投資判断を慎重にした方が良いと言う人たちもいる。長期間で見ると、ヘッジファンドは主要な指数を上回る成績を収めている。昨年は単に最も賢明で経験豊富なトレーダーですらつまずいてしまうという、めったに無いことが起こった年だっただけなのかもしれない、と業界アナリストは語る。

結局のところ、(殆どのミューチュアルファンドと異なり)ヘッジファンドは空売りすることで株価の下落にも賭けることができ、それによって目を見張るようなリターンを過去に上げることができたのかもしれない。

「ヘッジファンドは全てを完璧にこなしてきたと言っているのではない。マネジャーが直面する向かい風と戦うことは大変困難なことだ」とシティグループ・プライベートバンクのヘッジファンド投資責任者であるFrancis Frecenteseは言っている。しかし、ゴールドマン・サックスのアナリスト達は、相場全体が混迷した昨年であっても株式投資から収益を獲得する機会はいくらでもあったと言う。公正を期すために言うと、何人かのストック・ピッカーはかなり良い成績を収めた。チェース・コールマンが運用するタイガー・グローバル(Tiger Global)は昨年+45%となったが、そのかなりの部分は賢明な空売り銘柄選択によるものだった(タイガーも過去に▲40%の損失出したことあるけどね)。その他のマネジャーでは、フィリップ・ラフォンのコートゥー・マネジメント(Coatue Management)は+17%、ジョン・テイラーのJATキャピタルは+13%の成績を収めた。ゴールドマン・サックスのUS株式チーフ・ストラテジストDavid Kostin率いるアナリスト・チームのレポートによると、「2011年、あまりにも多くのマネジャーの成績が不振だったのには驚くばかりである。なぜなら銘柄選択の機会は過去30年のどの年と比較しても取りたてて悪い環境にあった訳ではない」とのことだ。毎四半期、Kostinのアナリスト・チームは『ヘッジファンドの成績に最も影響を与える50銘柄』から構成される指数(GS50株指数)を算出している。昨年、この指数はS&P500指数を5%も下回った。(このGS50株指数とSP500指数のリターンを比較したチャートを注1に記載)「あまりに多くのヘッジファンドがあまりに少ない投資機会を追いかけている」と、BoAMLのテクニカル&マーケット分析部門ヘッドのMary Ann Bartelsは言う。ヘッジファンドは長年、彼らのリターンは株式市場の単なるミラーではなく、相関も低いと言ってきた。しかし、Bartelsのチームは、ヘッジファンドのパフォーマンスとS&P500指数の相関は昨年後半に過去最大となった、と結論付けた。

昨年のいくつかのヘッジファンドの大損失は金融株への愛から生じた。昨年、バンカメは60%下落した。この下落により、ジョン・ポールソンの名声は著しく傷ついた。彼の運用するアドバンテージ・プラス・ファンドは2011年に50%以上も下落した。ポールソンなど一部のヘッジファンドは経済が回復するにつれて銀行が貸出を再開するだろうと見込んでいた。しかし、タイミングが外れた。バンカメやシティ、JPモルガンなど金融株への投資額を減らすも時すでに遅し、多額の損失を埋めるには至らなかった。

他にも著名ファンドで損失を被ったファンドがいた。特にテクノロジー業種に投資するヘッジファンドである。リー・エーンズリーのマーベリック・キャピタル(Marverick Capitalが▲15%となったが、テクノロジー投資ヘッジファンドはSINA CorpYoukuといった中国企業の株価が不振だったことの影響を受けた。

2011年前半に二桁のリターンを上げたダニエル・ローブのようなスターですら、2011年終わってみるとローブが運用するサード・ポイント・オフショア・ファンド(Third Point Offshore Fund)の損益はほぼトントンだった。リチャード・ペリーのペリー・パートナーズ・インターナショナル・ファンド(Perry Partners International Fund)は▲7.37%、ウィリアム・アックマンのパーシング・スクウェア・インターナショナル(Pershing Square International)は▲2%となった。

マネジャーは集団的思考(Group Think)に陥っているという批判がある。多くのマネジャーは同じビジネス・スクールに行き、同じファンドで働いていた(よって同じ方向に思考が動く)。

「自分のポジションを説明できないヘッジファンドマネジャーがいかに多いかにゾッとする。」と18億ドル(1,400億円)をヘッジファンドに投資するBenchmark Plus Partnersのリサーチ・ダイレクターNeil Cheloは言う。

昨年のようにミューチュアルファンドよりもヘッジファンドの損失が大きくなった時は特に、ヘッジファンドにべらぼうな手数料を払っている投資家は非常にイライラされられる。

「ヘッジファンド投資を始めて20年、私は遂に彼らが聖杯ではなく、巨額な手数料を徴収し、流動性が低く、レバレッジが高く、透明性の欠如によりリスクが隠された資産クラスであると悟った。」とAlpha Capital Managementの最高投資責任者Bradley Alfordは言った。

何人かの投資家は2011年の問題(欧州債務問題や投資銘柄の集中)が今年も継続していることを恐れている。ある意味では、不確実性は更に高まっているかもしれない。2012年はロシアやフランス、アメリカなど多くの国で大統領・首相選挙が行われる。「2011年より悪くなっていないとしても、今年は2011年の繰り返しとなるかもしれない。」と、カリフォルニア公務員退職年金基金(カルパース、米国最大の公的年金)のヘッジファンド投資アドバイザーも務めたAscent Private Capital Managementのオルタナティブ投資部門ヘッドのKurt Silbersteinは述べた。

(抄訳終了)


 
(注1)GS50株指数とSP500指数の年間リターンの比較は以下のチャートの通り(2002年から2011年まで)
gsvssp 

 

このチャートを見て思うのだが、2002年以降S&P500指数がマイナスとなった年は、2002200820113年間のみである。2002年はほぼ同程度のマイナスであるが、2008年もGS50株指数はS&P500指数を下回っている。一方、S&Pが上昇した年は、それ以上にGS50株指数のリターンは高い(チャートの赤丸箇所参照)。したがって、GS50株指数の組入銘柄が50に対しS&P500銘柄なので、GS50指数は分散が効いていないので単にリターンのボラが高い、というだけの気もする。果たしてこれをもって大型株への銘柄集中が高かったと言いきれるのか、疑問。
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2012年 コンサルタントのオルタナティブ投資見通し ② (Preqin調査レポート)

前回に続き、オルタナティブ投資リサーチ企業、Preqin(プレキン)社が実施したグローバル投資コンサルタントに対する2012年のオルタナティブ投資計画アンケートについて結果を紹介。

今回は、残りのインフラストラクチャーファンドとヘッジファンドについて。筆者のコメントは青字で表示。

調査サマリーレポート(英語)は、こちらPDFファイル)。

 

III.インフラストラクチャー

*念のため、ここでいうインフラストラクチャーとは非上場のインフラストラクチャーファンドであり、株式投信のインフラ・ファンド(いわゆる有価証券投資)とは異なり、実際に道路、発電施設、病院、学校、上下水道などインフラ資産(実物資産)に直接投資するファンドを指す。

1.地域と戦略の選好

最初に、「今後12ヶ月で最も投資機会が存在する地域とどこか?」という質問。アジアが50%でトップ、続いてヨーロッパが47%、南米42%、北米39%、最後に中東22%という順になった(Fig.9)。インフラストラクチャー投資においてもエマージング市場の重要性が高まっている。また、コンサルタントのかなりの数が南米を近い将来インフラ投資を行う魅力的な地域とみているようだ(Fig.9)。

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プライベートエクイティや私募不動産と比較すると地域的なばらつきが小さい(ただし、中東を除く)。欧州債務危機の震源地である欧州の選好が47%と高いが、その一因は欧州(特にイギリス)でインフラ関連の法整備(PFI法)が80年代中頃から整っており、結果「民間資金を活用したインフラ投資」が北米などと比べて早くから浸透しているためであろう。なお、Preqinのコメントでは、アジア=エマージングという捉え方でコメントが、アジアの先進国であるオーストラリアもイギリス同様に早くからインフラ投資が活発な国であるため、インフラ投資に関しては必ずしも「アジア=エマージング」とは言えないと思う。

 

続いて、「現時点で最も魅力的な投資機会を提供している戦略は?」という質問。同じく15段階評価(5が最も魅力的)で、最も高かったのは、プライマリ(ファンド設定時からの投資)が3.7、セカンダリ(既存ファンドの持分を既存投資家から購入)が3.4、デット/メザニンが3.1、ファンドオブファンズが2.5という順になった(Fig.10)。

10

この結果は大して意味がないと思う。「魅力的な投資機会を提供している戦略」というより、単に市場に出回っているファンドの数順に並んでいるだけである。プライベートエクイティやヘッジファンド、不動産ファンドと比べ、インフラファンドの歴史は浅く、1990年代後半ないしは2000年に入ってからインフラ投資スペシャリストやインフラのオペレーターが運用する本格的なインフラファンドが登場し、2000年代中頃に大手投資銀行がこぞって参入してきた。こうした経緯もあり、コンサルタントのカバレッジも他のオルタナ資産に比べて浅く、また先行した一部のインフラファンドを除くと、ファンドの「ライフサイクル(資金調達からファンドの償還まで)」を経験しているファンド数はまだまだ少ない。クレジットバブル崩壊以降、安定したインカムゲインを獲得できる、として「人気先行」という形でインフラ投資が一般的に浸透してきたのが現段階の姿であると思う。もっと基本的なことを言うと、この設問の回答選択肢が的外れであろう。インフラファンドの戦略は、社会インフラに投資するのか、経済インフラなのか、はたまた環境関連インフラなのか、資源関連インフラなのか、そういった切り口で戦略分析を行わないと全く意味のないと思う。 

2.投資配分計画

次に、今後12ヶ月のインフラへの投資配分について。「増やす」との回答が約6割、「現状維持」が4割となった。うち2割以上が「大きく増額予定」との回答である。一方、「減らす」はゼロとなった(Fig.11)。

11

上記のコメントの通り、投資家ポートフォリオに占めるインフラファンドの比率は低いこと(歴史が浅い)、リーマン以降より安定したインカムゲインを志向する投資家が増えたこと、そして歴史が浅いぶん相対比較的に投資の失敗事例が少ない、ということが上記結果に現れているように思う。

3.最も関心の高い事柄

続いて、「インフラ投資における最大の関心事は?」という質問。最も高かったのは、手数料/諸条件(18%)、次いで低流動性(16%)となっており、規制とバリュエーションが11%で並び、マーケットに対する戦略のフィット、透明性、利益の一致が9%で並び、レバレッジ/デットの調達が7%、そして、最も低いのがファンドのパフォーマンスと経済/マーケットのボラティリティ(各々5%)という結果となった(Fig.12)。

12

他のオルタナファンドとは全く異なった結果で、手数料/諸条件への関心が最も高く、リターンが最も低いというのは意外な感じがする。インフラファンドは他のオルタナティブ資産よりもリターンの安定性が高い。それは言うまでもなく実物資産であるインフラ(道路や病院など)に直接投資し、そこから生まれる利用料が投資家の収益源泉となるからである。逆に言えば、リターンのアップサイドも他のオルタナ資産に比べ小さい。(個人的な推察であるが)こうした理由から、リターンやマーケットのボラティリティに対する関心が低く、手数料を重視する傾向にあるのかもしれない。ある意味で、ヘッジファンドなどが株式投資代替と言えるのに対し、インフラファンドは債券投資に近いイメージであろう(ちなみに、ヘッジファンドないしはファンドオブヘッジファンズを債券代替として組入れている投資家もいるが、それはリターンにのみ着目しポートフォリオ理論でのみ投資の性質を把握しようとする、誤った考え方だと筆者は思っている。まぁ、リーマン以降そうした考え方もめっきり少なくなったが)。

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IV.ヘッジファンド

1.地域と戦略の選好

地域選好としては、北米が77%、欧州が60%と先進国の比重が高く、続いてアジア46%、南米20%という順となった。戦略選好はイベントドリブン/スペシャル・シチュエーションが3.8で最も高く、マクロ3.7、株式ロングショート3.5CTA3.4と続いた。逆に、転換社債裁定が2.7、ファンドオブヘッジファンズが2.8と低かった(Fig.13およびFig.14)。

13
14

戦略選好は広くばらついている。リーマン以降マネジャー数が激減した転換社債裁定戦略と、シングルヘッジファンド志向の高まりを反映してファンドオブファンズの人気が低いのは、まぁそうかな、という印象。

2.投資配分計画

次に、ヘッジファンドへの投資配分であるが、現状維持ないしは増やすとの回答は合算で約85%となり、昨今のマクロ&マーケット環境下においても、ヘッジファンドのアロケーションを減らす、との回答は少数にとどまった(Fig.15)。

15

コンサルタントに限らず、2011年を通じて、ヘッジファンドの資金フローは大きな流出を伴うことはなく、2008年とは異なり投資家の対応は落ち着いたものであった。

3.新規ヘッジファンドへの投資決定において最も関心の高い事柄

「パフォーマンスとトラックレコード」が62%と圧倒的に高く、次いで「ファンドレベルでの透明性」と「戦略」が12%、「その他」10%、そして、「流動性」と「リスク管理」が2%と最も低くなった(Fig.16)。

16

リーマン以降、ポジションやリスク情報開示への要求水準が高まっていることやヘッジファンドの情報開示姿勢が向上したことを考えると「透明性」が上位となったのは納得だか、リスク管理が2%と極端に低かったのは意外。


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2011年12月のヘッジファンド指数―HFRIとHFRXの比較

年末年始、更新が滞っておりました。

 

気分一新! 2012年もどうぞよろしくお願いします。個人的には今年の書初めは「曙光」にしました。

 

12月のヘッジファンドリターンが出たので、月次HFRI指数と日次HFRX指数の12月リターン比較から(HFRIHFRXの違いについては、こちら)。
20110110 Monthly_table
 

上記の表のように、12月のリターン格差は全体の指数、各種戦略ともあまり大きくなかった。そうした中にあって最も差が大きかったのは、株式マーケットニュートラルで1.1%となった。マクロ(システム運用)で0.5%、転換社債裁定戦略で0.1%、HFRX指数を下回ったものの、その他の戦略ではHFRI指数が上回った。

20110110 Monthly_Chart

2011年の年間リターンで見ると、ヘッジファンド全体指数では、HFRXが▲8.9%に対し、HFRIが▲4.8となり、ほぼ倍のパフォーマンスの開きが出た。個別戦略を見ると明白であるが、株式ヘッジ戦略がHFRX19.1%、HFRI8.0となり差が11%も出たことが最も影響した。その他個別戦略では相対価値裁定戦略がHFRX4.0%、HFRI+0.5%となり差が4.5%となった。

20110110 Yearly_table

いずれにしても、総括すると、2011年も、単月ベースでも通年ベースで見ても、例年通りHFRIHFRXを上回る結果となった


2012年 コンサルタントのオルタナティブ投資見通し ① (Preqin調査レポート)

オルタナティブ投資リサーチ企業、Preqin(プレキン)社が、機関投資家アンケートに続きグローバル投資コンサルタント70社に対して2012年のオルタナティブ資産(ヘッジファンド、プライベートエクイティ、不動産、インフラストラクチャー)への投資計画アンケートを実施した。

2011年の年央に調査実施、70社合算のオルタナ投資アドバイス残高は1.5兆ドル(約117兆円)。

調査サマリーレポート(英語)は、こちらPDFファイル)。 

ここでは、2回に分けて、簡単な日本語サマリーを筆者の簡単なコメントと共に紹介したい(筆者コメントは青字で表示)。今回はプライベートエクイティと私募不動産について。

 

I.プライベートエクイティ

1.地域と戦略の選好

最初に、「今後12ヶ月で最も投資機会が存在する地域とどこか?」という質問。アジアが65%、北米が64%となった。また、南米も38%という結果となったが、エマージングマーケットは魅力的な投資機会として見られることが多い。現在の環境下にあっても、こうした地域を対象としたファンドへのコミットメントは恐らく続くであろう(Fig.1)。

1

続いて、「現在の環境下にあって、最良の投資機会を提供している戦略は?」という質問。15段階評価(5が最も魅力的)で、最も高かったのは、中小型バイアウト戦略の4.0、続いてディストレストとセカンダリが3.4で並んだ。中小型バイアウト戦略は、機関投資家プライベートエクイティ投資見通しアンケートでもトップとなった戦略である(Fig.2)。

2

本アンケートが実施された年央以降、欧米の銀行が資本規制強化およびボルカールールへの対応としてプライベートエクイティ持分売却のニュースが出ているが、二桁のディスカウントで売却する事例も出ており、セカンダリ人気が高まるであろうと思われる。また筆者が某大手プライベートエクイティ・ファンドオブファンズと話したところ、彼らもセカンダリ特化のFoFs組成を計画しているとのことであった。セカンダリとは、既に運営中のファンドの持分を保有投資家から買い取ることを意味するが、セカンダリファンドの多くは既にファンドからいくつかの企業へ投資を行っているため、ビンテージ(ファンド組成年)の異なるセカンダリファンドいくつかを上手くミックスすることでJカーブ効果を低減でき、キャッシュフローを「ならす」ことが期待される。したがって、プライベートエクイティ投資の初期段階にある機関投資家を中心にセカンダリファンドへの投資意欲は高まると思われる。

 

2.投資配分計画

次に、「今後12ヶ月でプライベートエクイティへの投資金額を増やすか、減らすのか」という質問。全体として、プライベートエクイティ投資金額を増額ないしは現状維持をアドバイスしているコンサルタントが90%以上という結果となった。大きく増やす、ないしは少し増やすという回答が合わせて60%、現状維持が32%、減らすが7%という結果となった(Fig.3)。

3

3.プライベートエクイティで最も関心の高い事柄

続いて、「プライベートエクイティ投資における最大の関心事は?」という質問。最も高かったのは投資家とファンド運用者の「利益の一致」で22%となった。次いでファンドのパフォーマンス(19%)、流動性の低さ(16%)、バリュエーション(13%)、経済/マーケットのボラティリティ(11%)という順となった(Fig.4)。

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「手数料/諸条件」がわずか2%で最も低くなったことは興味深い。

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II.私募不動産

ここ数年、私募不動産のパフォーマンスが全体として振るわない中、「ババ」をひかないようにコンサルタントは投資家のために最良の投資機会の提供に極めて誠実でなければならない。ファンドマネジャーは投資家および彼らのコンサルタントが何を選好しているかを把握し、それらに応えていくことが要求されている。

 

1.地域と戦略の選好

地域選好としては、北米が68%で最も高く、続いてアジア(51%)、欧州(38%)、南米(35%)、中東(11%)の順となった。北米では売り叩かれた物件や差し押さえ物件などディストレス不動産への投資機会を引き続き模索している(Fig.5)。

5

脱線するが、中国不動産について。メディアでは中国不動産投資からは今すぐに撤退すべき、との論調も見られる。特にレジデンシャルのバブルをかきたてるメディアが多い。筆者の関与する中国私募不動産のマネジャーは全く異なる見方をしている。実際、同マネジャーがリーマン破綻前に組成したファンドのパフォーマンスは危機を経た現時点でも年率20%近いリターンを挙げている。「中国不動産」と一様に論ずるのは誤りであり、明確な投資戦略やディール発掘能力、そして中国独特な当局との折衝能力があれば、魅力的なリターンを獲得することも可能なのである。中国不動産について別途書いてみたいと思う。

 

続いて、戦略選好である。不動産投資の一般的な分類としては、最も低リスク・低リターンとされる①コア型(Core)から、②コア・プラス(Core Plus)、③バリューアッド(Value Added)、④オポチュニスティック(Opportunistic)の順で大別される。ざっくり言うと、既存物件を単に買い持ちするのか、デザインや内装を変え改築するのか、それとも更地から建設するのか、といったリスク・リターン特性の違いによって上記のように分類される。ここに、⑤ディストレスト不動産投資や(プライベートエクイティ同様に)⑥セカンダリファンドへの投資、⑦不動産ファンドオブファンズが加わり、合計7つの戦略について、1~5段階で回答されている。オポチュニスティック、ディストレスト不動産、バリューアッドがスコア3.63.7と最も選好されており、次いでセカンダリ(3.2)、コア・プラス(3.0)、不動産ファンドオブファンズ(2.7)、コア(2.6)となっている。コア不動産が最も低くなっているが、不動産投資家の一部は、市況の悪化を受けた需要増加によりコア型不動産は割高となっているとみているようだ。コア・プラスのランクも低くなっており、この結果からは投資家およびコンサルタントが不動産投資についてリスク・リターン特性の高い戦略が選好されていることが示されている(Fig.6)。

6 

2.投資配分計画

次に、「今後12ヶ月で私募不動産への投資金額を増やすか、減らすのか」という質問。プライベートエクイティと同様の傾向が見られ、全体として投資金額を増額ないしは現状維持をアドバイスしているコンサルタントが90%近くという結果となった。大きく増やす、ないしは少し増やすという回答が合わせて72%、現状維持が16%、減らすが9%という結果となった(Fig.7)。

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3.私募不動産で最も関心の高い事柄

続いて、「私募不動産投資における最大の関心事は?」という質問。最も高かったのは「バリュエーション」で23%、次いで「経済/マーケットのボラティリティ」(19%)、「レバレッジ/デットの調達」(15%)、「手数料/諸条件」と「透明性」、「低流動性」が9%で並んでいる(Fig.8)。

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筆者が驚いたのは、「ファンドのパフォーマンス」がわずか6%にとどまったことであった。

 

次回は、残りのヘッジファンドとインフラストラクチャーファンドへのアンケート結果についてコメントする。

 

以上

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今週のマーケット(12月9日時点)

(今週のマーケットは、原則毎週火曜か水曜に更新します)

 

各種マーケット指数

  • 引き続き欧州危機の行方が相場を左右する中、株式市場はレンジ相場となった。木曜はECB定例理事会で、ドラギ総裁が国債購入拡大を強く否定したことが手がかりとなり下落したが、翌金曜には、EU首脳会合(サミット)では短期的な解決具体策が示されなかったもの「財政規律の厳格化」に反応したのか、株価は上昇した。週間ベースでMSCI世界株式指数はほぼ変化なし、月間でもわずかにプラスとなった。
  • 国債指数も週後半に下落し、週間ベースでは+0.21%となった。
  • 為替はエマージング通貨に対してドルは買われた一方、ドル指数でみるとほぼフラットとなった。
  • コモディティは下落。株価指数は概ね上昇。MSCI世界株式指数が8%超上昇したが、週間ベースでは20093月以来28ヶ月ぶりの上昇となった。
  • 通貨もドル高が反転し、ドル指数は1.3%下落、ユーロは対ドルで1%以上上昇し、ほぼ年初の水準となった。
  • コモディティ相場は下落。CRBコモディティ指数は▲2%、金先物も同じく▲2%となった。
  • クレディ・スイス・ハイイールド指数は1.1%上昇した一方、その他クレジット市場はまちまちでレンジ相場となった。

HFRX ヘッジファンド指数

  • 各種マーケットがレンジ相場となる中、ヘッジファンド戦略のリターンの変動も概ね小幅なものにとどまった。

 20111213_weekly

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2011年11月のヘッジファンド指数―HFRIとHFRXの比較

HFRI指数の11月リターン速報値が発表されたので、このHFRIと毎週お伝えしているHFRXの月次リターン比較を行う。(HFRIHFRXの違いについては、こちら

201111_HFRIvsHFRX_table201111_HFRIvsHFRX_monthly
上記の表のように、
11月のリターンの差異は、全戦略を含んだヘッジファンド指数でみるとわずか0.1%であった。最もリターン差異が大きかったのはマクロ(システム運用)戦略の2%となった。同戦略の月次リターンがHFRI指数では▲0.5%となった一方で、HFRX指数は+1.4%とプラスを確保した。以前、「マクロ(システム運用)戦略は他戦略に比べてリターンの差異が出にくい戦略である」と書いたが、それとは矛盾する結果である。ではなぜ差異が2%出てしまったのか、その理由としては、以下の2つが考えられる。

    7、8、9月とプラスが続き、10月に大きくマイナスに反転、11月さらに反転したことで個別ファンドのモデルが対象とするトレンドの長さ(短期・中期・長期)の違いがパフォーマンスに差が出たため。つまり、中・長期トレンド型のファンドが10月の相場反転時にもポジションを維持したことで11月にプラスを上げた一方で、短期トレンド型ファンドが10月の相場反転時にポジションを手仕舞い、もしくは反対ポジションを取ってしまったために11月にフラットもしくはマイナスのパフォーマンスになってしまった。

    HFRI指数のマクロ(システム運用)戦略の組入れファンドが数百あるのに対し)HFRX指数の同戦略に組入れられているファンドが10以下で、かつ長期トレンド追従型が多いため、上記①の理由によりプラスとなったファンドが多かった(振り返って10月を見ると、HFRIが▲3.7%に対し、HFRXが▲4.8%となり、HFRXの方が1%損失が大きかったことと整合的な結果となっている)。

ちなみに、1011月の2ヶ月のリターンで比較するとHFRI4.2%、HFRX3.5%となり、差異は0.7%に縮まる結果となっている。

単月ベースでみると、差異は当然大きくなりうる。特に、トレンドの反転時にはそうである。しかし、年単位で見るとマクロ(システム運用)、ないしはマネージド・フューチャーズ戦略は他の戦略に比べてファンド間の相関が高く、リターン差が小さいというのは間違いない。たまに、パフォーマンスが顕著に異なるファンドがあるが、それはファンド自体にレバレッジがかかっているケースや、投資対象資産がコモディティやカレンシーに特化しているケースなど理由として挙げられる。

 

最後にHFRIHFRXの年間リターングラフは以下の通り。ヘッジファンド全体の指数では、HFRIが▲4%に対し、HFRXが▲8%と倍の開きが出ている。前月までと同様に株式ヘッジ戦略の違いが極めて大きい。
201111_HFRIvsHFRX_yearly
 

 

今週のマーケット(12月2日時点)

(今週のマーケットは、原則毎週火曜か水曜に更新します)

 

各種マーケット指数

  • 先週までとは反転し、リスク資産上昇。引き続き欧州の動向に左右される展開が続いており、週前半に主要国6中銀が金融市場緩和を目指し協調策を打ち出したことや欧州要人発言を受け楽観的な見通しが広がったほか、米国感謝祭後の小売売上高が過去最高となるなど景気後退懸念が緩和したことが背景。
  • 株価指数は概ね上昇。MSCI世界株式指数が8%超上昇したが、週間ベースでは20093月以来28ヶ月ぶりの上昇となった。
  • 通貨もドル高が反転し、ドル指数は1.3%下落、ユーロは対ドルで1%以上上昇し、ほぼ年初の水準となった。
  • コモディティ相場も上昇。ヘッジファンドなどの投機ポジションも強気が戻ってきている。
  • CB、ハイイールド、ローンなどクレジットも軒並み上昇、クレジットデフォルトスワップ(CDS)のスプレッドもタイトニングした(リスク選好が高まった)。

 

HFRX ヘッジファンド指数

  • 株式市場の上昇によって、株式ヘッジ戦略やイベントドリブンや合併裁定など株絡みの戦略がプラスとなった一方、先週までのトレンドの反転によりマクロ戦略、とくにシステム運用は苦戦し、2.5%のマイナスとなった。

 20111206_weekly_table

*今週後半には、HFRXHFRI指数の11月の月間パフォーマンスを比較します。


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